さて、昨日は 『ちょっとイイ発見』 の話をするつもりが、
大きくソレてしまい、収集ががつかなくなって来たので、
今日はきちんと致します(笑) 。
昨日の最後の部分で、『ベッカムに恋して』と言う邦題はどう思いますか?って書きましたが、
映画の内容はともかく、何となくB級っぽく聞こえませんか?
他に見る映画も無かったので、半分仕方なく、音が鳴ってる程度で、
画面が部屋を明るく照らしてくれればいいや系で、少しオーニングを見ていて、
僕は一発フリーズ!
では、どうしてフリーズしてしまったか? それは、
僕の大好きなイギリスの、しかもヒースロー近くの映像が、もの凄く斬新だっただけではなく
いきなり、オープニングの映像にかぶるかのように 『JAM』 の 『MOVE ON UP』が流れて来るのです。
まさにダブルパンチ(死語 ?)とはこの事です。
[僕のレコード ライブラリーにはトーゼン、『MOVE ON UP』 がありますよ(笑)。]
イギリス在住経験のある方で 『JAM』 がお好きな方には、きっとこの感覚がお分かり頂けると思います。
映像の中から、イギリスの乾いた空気感が伝わって来るのです !
*『MOVE ON UP』 は下記でお聴き頂けます。↓
ところで、素敵なのは映像だけではなく、そのストーリーもです。
移民のかかえる人種問題、若者の進路、恋・・・一見ありがちですが、
根暗な映像表現をして、見る者にコビを売るような手法は取らず、
最後は何故か微笑んでしまえる、とても安心感のある映画でした。
先に、邦題の『ベッカムに恋して』だけのイメージからは、
B級な感じしかしないと書きましたが、スバリ、映画を見終わってからの正直な感想は、
このような、失礼なイメージを持った事をお詫びしなきゃイケないなと思いました。
(とは言え、どこにお詫びしていいモノやら・笑)
詳細は映画を見て頂ければ一目瞭然なのですが、
少々僕の感激したシーンをご紹介しましょう。
主人公の『インド系 イギリス人』の『ジェス』が住んでいると言う設定の
ロンドン西部の『Southall』は、インド系移民のコミニュティがある所で、
僕もレンタカーの給油で訪れた事があり、フツーにターバンを巻いた男性も多く、
なかなかエスニックな場所です。この場所が頻繁に出て来ます。
また映画の中で『ジェス』 がサッカーの試合中にユニフォームをつかまれて転倒した時、
相手が『パキ !』と言った為、つかみ合いになり、結果、レッドカードをもらってしまうシーンがあります。
この『パキ』とは、パキスタンの人をバカにした表現で、我々で言うトコの『ジャップ』を意味します。
でも、『ジェス』はパキスタン系ではなく、インド系です。
ここがダブルミーニングのような表現を取る、この映画の粋なトコなのですが、
外部の物から見た場合、外見では『インド系』と『パキスタン系』の方の見分けが付かないのが事実です。
元来、歴史的な背景から見ても、インド系とパキスタン系はあまり仲がよくなく、
宗教もインド系は『ヒンドゥー』、パキスタン系は『イスラム』です。
(双方が犬猿の仲と言うのは、カシミール問題や核実験問題など、ニュースでもよく耳にしますね・・・)
コレは、映画の中でも出て来るシーンですが、『ジェス』が、保守的な『ヒンドゥー教徒』の両親や親戚の事を
友人に説明する際、『恋人がイギリス人ならまだしも、イスラム教徒と付き合ったらコレよ』って、
首を切るジェスチャーをするのが、非常に印象的です。
先に『ジェス』がサッカーの試合でレッドカードをもらったと言うシーンにふれましたが、
『パキ』=パキスタン人と間違われた点と、軽蔑的な表現をされたと言う、二重の痛みを
映画の中から見てとれる事が出来ます。
本当に奥の深い、いい表現がテンコ盛りの映画で、僕のようにイギリス文化に興味のある人には
細かな部分のディテールまで何倍も楽しめるのでは?と思います。
ところで、気になったので、『ベッカムに恋して』の原題を調べて見たトコ、『Bend It Like Beckham』との事、
簡単に言えば『ベッカムのように曲げたい』ですが、
本当の意味は『ベッカムのように美しい弧を描いたキックが蹴りたい』と言う意味があるそうです。
う~む・・・奥が深いですね。
ちなみに『ベッカム本人』も最後に一瞬出て来ますし、『ジェス』の夢の中には
往年の名プレイヤー 『リネカー』、『ハンセン』、『バーンズ』(勿論、全員本人) が出て来る、
なかなかニクイ演出もあったりしますよ。
今回は邦題と原題でイメージが大きく異なると言う『ちょっとイイ発見』、
やっぱ、イギリス映画には『JAM』がよく似合うと言う『ちょっとイイ再発見』、
そして、インド系の女性は文句なしに美しいと言う『ちょっとイイ再々発見』等々・・・
オタク系の僕にはたまらない発見の数々となりました。
いい映画を見た後は、とても気分がイイですね。
ではでは、今日はこのあたりで・・・
P.S.
『ベッカムに恋して』が上映された2002年は、日本でワールドカップが開催され、
ベッカム人気が一気に大ブレイクした事は、記憶に新しいトコだと思います。
この年、ワールドカップグッズも多数発売され、中には今見ると、結構キワモノもあったりします。
写真は2002年のワールドカップ時に、ここのトコお騒がせの『不二家』が、
『ペコ』ちゃんと『ポコ』ちゃんに、日本チームのユニフォームを着せて発売したモノです。
僕は何でも大量に買ってしまうタイプで、可愛らしいので、当時100個位買ったのですが、
店に遊びに来る、若い女の子達に持って帰られてしまいました(笑) 。
ちなみにコレはチョコ菓子入りで、販売から半年程度で賞味期限が切れた為、
持って帰る女の子達には『期限切れだから、中のチョコは食べられないよ』って
渡していましたが、今考えて見ると、不二家の製品って、新品でも食べるのが怖いです・・・
今になっては、なかなかレアなワールドカップグッズではないでしょうか?