風とチャイムと消えた足跡・・・

僕の実家の近所に『神社』があります。
もう、さっぱりお祭りなんか行っていませんが、まだ日にちが変わっていなければ、
11月3日に開催されるているハズです・・・

この神社の名は、『龍王神社』と言い、もの凄い急階段を登り、境内へ上がります。
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[もの凄い急階段です。僕が子供の頃は左右をガードする網はありませんでした・・・]

実はこの『龍王神社』と言う名前は愛称で、正式には『貴船神社』と言います。
歴史は非常に古く、建立は延宝年間(1673年~1680年)にまでさかのぼるそうです。
何でも、この延宝時代には大旱魃(だいかんばつ)が2度も起こり、村は大打撃を受けたそうです。
そこで、当時の庄屋さんの呼びかけで、この神社に雨乞いをしたところ、
二河(呉市内の河です)の滝壺から龍が現れて、大雨を降らせ、旱魃から救ったと言う伝説が残っているそうです。

そう言う訳で、このあたりの人は、『延宝年間』からず~と親しみを込めて、
この神社の事を『龍王さん』と呼んだそうで、
その呼び名が、今も継承され、『龍王神社』と呼ばれている訳です。

実は僕も、お恥ずかしながら、この神社の歴史を調べるまでは、正式な名称が『貴船神社』だと言う事を
全く知りませんでした・・・

何分、おじ~ちゃんも、おば~ちゃんも『龍王さん』と呼んでいたので、それが“本名”だと思っていましたが、
ニックネームだったなんて!(笑)。

ところで、この急階段、何段あると思いますか?
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[この階段、上から見ると、さらに怖い・・・]

『答えは99段』です。不思議でしょ、100段ならキリがいいのですが、何故か99段・・・
こんな感じの階段なので、子供の頃、誰言うともなく、昔は100段あったけど、災害が起こり、工事後、1段減ったとか、
階段から落ちて死んだ子供がいるので、縁起を担ぎ、(←意味不明ですが)、99段になったとか・・・
まぁ、今風で言うトコの『都市伝説』みたいなモノが囁かれました。

で、今日、久しぶりに近所を通ったので、その99段階段のある、『龍王神社』に寄ってみました。
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[地元だから言う訳じゃないですが、本当にいい神社ですよ。]

実はここには、もうひとつ、凄い『都市伝説』(笑)があるのです。
それは、『鬼の足跡』と呼ばれるモノです。

社殿内の天井板の部分に、足跡が何個か残っているのですが、
それが、どれも全て、爪の部分が鋭角になっており、いかにも獣のような形をしているのです。
僕を含め、この地域の小学生はみんな、この事を知っていて、
まさに、先輩から後輩へ『鬼の足跡』として、伝承されて来たと言う訳です。

そこで、今日はその『鬼の足跡』をブログでご紹介しようと思ったのですが、
非常に残念な事に、『平成13年』に発生した、『芸予地震』の時、この神社は大きな損害が出たそうで、
その際、屋根の部分を全面改修した為、今では、『鬼の足跡』と呼ばれていた、天井板はなくなっていました・・・
子供の頃の思い出が、ひとつ消えてしまったって感じがして、少し寂しいですね。
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[全面改修され、昔の面影はありませんでした・・・(*社殿の真ん中から天井を魚眼で撮影しました)。]

でも、寂しい反面、これでよかったとも思います。
子供心は純粋です。もしも今日、30年ぶりに、『鬼の足跡』を見る事が出来たなら、
ソレを見て、僕はどう感じたのか? ちょっと怖かったりします。
もしかしたら、夢が壊れていたかも?しれませんね・・・

結果、地震で無くなってしまったお陰?で、
『子供の頃、龍王神社には鬼の足跡があったんだよ。』『僕は実際に見たよ』って、
これから先も、イバって言えます!!
言葉の最後に『今は無くなってしまってケド』と小さく付け足しますが(笑)。

何だか、切ないと言うか、不思議な気分でした・・・
今はスレた大人になってしまったケド(笑)、神社は昔のままの姿です・・・
平日の昼間の空間は静寂そのモノで、まるで、小学生の頃にタイムスリップしてしまったかのようでした。
風が木々を揺らす音と、少し離れた小学校から聞こえてくるチャイムの音が、そうさせたのかも? しれませんね・・・

こんな切ない日は『風の世界』を聴きたくなります。
『大貫妙子』さんのナンバーから・・・
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